2023.03.09

おススメの過ごし方

ザ・チェルシーブレス おすすめ旅vo.4【夏のカップル旅】

世良亮太(27)は、佳奈(23)に対して秘密があった。それは、初めて迎える彼女の誕生日に考えていたサプライズのことだった。佳奈の誕生日は、二人が付き合い始めた記念日でもある。その大切な日に、二人だけの思い出をつくりたい。二人っきりの時間をゆっくり過ごして、そこできっと佳奈はSNS映えする写真が撮りたいと言うだろう。そんなことを考えながらネットで探して出会ったのが、香川県高松市の郊外にあるホテル「THE CHELSEA BREATH(ザ・チェルシーブレス)」だ。

とにかく、そのサプライズは、成功した。亮太は温泉上がり、大浴場に隣接したヒーリングラウンジでハイボールを飲みながらその余韻に浸っていた。今日の佳奈の嬉しそうな顔を思い返すと、達成感からお酒が進んだ。

「どうぞごゆっくりお過ごしください」
チェックインを終え、今日泊まる部屋の扉を亮太が開けた。しかし、彼はすぐには入らず、後ろにいた佳奈を先に通した。
「うわーーー!!! えっ…」 そう言って言葉を失う彼女の驚きと歓喜の混じった表情を、生涯忘れないでおこうと亮太は誓った。
ベッドには、バルーンで「HAPPY BIRTHDAY 23」の文字がデコレーションされていたのだ!

思えば、このホテルに到着するまでの旅路も楽しかった。学生時代以来の香川県。香川といえば、さぬきうどん。
うどん屋さんをめぐったことはあるので、今回は、「中野うどん学校」でうどん打ち体験。

本場さぬきの手打ちうどんの生地をのばして、切って食べるまでを授業形式で体験できる、およそ90分のプログラム。
うどんが完成したら、次はお土産用に、粉からうどん玉を作るまでの工程も体験。
ノリノリの音楽に合わせて、混ぜて!まとめて!踏む!
楽しみながら作っていると、あっという間にうどん玉ができあがった。

一緒にうどんをつくるというアクティビティは、意外と心の距離が近くなるものだと亮太は感じた。
素晴らしいデートだ!

満腹の幸せを感じつつ次に訪れたのは、四国水族館。
四方を海に囲まれた四国の豊かな水景が再現された、大人も楽しめる水族館だ。

中に入るとハンマーみたいな頭をした主役のシュモクザメが、待ってましたとばかりに愛嬌を振りまく。そのかわいらしい姿に、佳奈と一緒に笑いあった。
 

“生きもののための水族館”と言われるだけあって、どの魚も生き生きと泳いでいて、海の神秘さを感じさせられた。
 
魚やクラゲに癒された二人は、楽しみにしていたイルカのプールへ。イルカの豪快なジャンプと愛くるしい表情に、二人はずっと見ていられると思った。
あまり意識をしたことはないけれど、生き物に触れることは、エネルギーをもらうことなのかもしれない。
  • 画像提供:四国水族館

  • 画像提供:四国水族館

それから、1時間ほどのドライブで到着したこのホテルが、「THE CHELSEA BREATH(ザ・チェルシーブレス)」。「オールインクルーシブスタイル」に亮太はすでに、心からくつろげて好ましい印象を抱いていた。3杯目のハイボールに口をつけても、まだ佳奈は温泉から出てこない。普段から長風呂だけれど、今日はいつもに増してゆっくりだなと思った。きっと半露天風呂からの絶景を眺めて、湯を楽しんでいるのだろう。そういえば、泉質は天然ラジウム温泉で、療養泉となる基準の7倍以上もの含有量を誇るラドン(Rn)が、免疫力を上げるのだと書いていたことを思い出した。
佳奈が上がってくれば、楽しみにしている夕食が始まる。記念日のディナーは、ホテルの「フレンチ懐石コース」を予約している。瀬戸内海で獲れる魚や、地域の専属農家から毎朝直送される野菜、そしてメインとなる牛肉は香川県のブランド牛「讃岐オリーブ牛」のA5ランクのみを使用と、素材には相当こだわっているらしい。想像しただけで、お腹が鳴った。
クスクスと笑い声がした。ふと見上げると、風呂上がりの佳奈が横に立っていた。

部屋に戻り着替えをすませると、フロントカウンター横にあるメインラウンジ「ザ・ドリフトウッド」に場所を移して、夕食までの時間を過ごすことにした。

やはりフリーフローで楽しめるアルコールドリンクや、ソフトドリンク、おつまみを堪能しつつ、佳奈が見つけてきたゲームをやってみることにした。海外で生まれたゲームがいくつも備えてあり、そのうち「クイキシオ」というゲームに挑戦した。自分のマークを5つ並べたら勝ちというゲームのようだ。いつもは使わない脳の部分を使ったような心地いい刺激が、お酒の酔いを和らげてくれているようだった。

やがて日が暮れて、外の景色よりも館内のコントラストが際立ってくると、メインオブジェとしてディスプレイされている流木が不思議な存在感を放っていた。ふたりは、インスタ用に写真を撮った。敷地内にあるチャペルやガーデンなど、インスタスポットめぐりもできるらしい。明日の朝に行ってみることにする。明日は帰路につくが、「秩父が浜海岸」に立ち寄ってみる予定だ。ここでもインスタ映えのする素敵な写真が撮れそうだ。ここから見えるサンセットとはまた違った景色が楽しめるに違いない。

そんなことを話していると、食事の時間がやってきた。「お誕生日おめでとう! これからもよろしく!」。コースの最後のデザートプレートには、そんなメッセージを予約時にお願いしてある。二人の目の前には四国の食材を使ったワクワクするような料理が運ばれてくる。眼差しを上げてみると、窓の向こうは赤く染まり、幻想的な暮れ方をしていた。佳奈は料理と夕暮れと、どちらにも気を引かれ、退屈をする暇がないようだった。このホテルで大切な記念日が迎えられて良かったと亮太は思った。二人にとっての新しい1年が始まろうとしている。
【今回ご紹介した施設】
■中野うどん学校 https://www.nakanoya.net/school/takamatsu.html
■四国水族館 https://shikoku-aquarium.jp/

※掲載の写真は、中野うどん学校様、四国水族館様に許可をいただいて撮影・掲載しているものですので、無断転用・使用はできません。
※各施設に関しては、営業日等をよくご確認の上、ご訪問ください。
※四国水族館様のお得なチケットを、ホテルフロントで販売しております。
※各施設のご予約はホテルでは承れません。
※掲載内容はフィクションで、写真はイメージです。